説明で埋めないUIをつくりたい

私は、基本的に

説明が多すぎるUIが、あまり好きではありません。

もちろん、分かりやすさは大事です。

でも「とにかく親切に」「全部説明しておこう」という方向に

無条件で進んでしまうことには、ずっと違和感があります。

特に、スマートフォンの画面では。


スマホの画面は小さい。

しかも、ユーザーにはその画面で

達成したい目的があります。

それなのに、プロセスの途中で

「これはきっと分からないだろうから」

「間違えたら困るから」

と考えて、

説明のテキストを足し、

補足文を足し、

さらに図やインフォグラフィックまで足していく。

そうやって設計された画面は、

一見とても親切に見えます。

でも実際には、

文字が多くて、重たくて、近づきにくい画面になることが少なくありません。


ユーザーは、

「理解したい」よりも先に、

「早く終わらせたい」と思っています。

なのに画面いっぱいに

「読まなければいけなさそうな情報」が並んでいると、

その時点で、気持ちは一歩引いてしまう。

分からないから止まる、というより、

負担を感じて止まる

この感覚は、

設計している側にいると、意外と見えにくいものです。


紙の説明書や、家電のマニュアルと違って、

スマホのUIは

「すべてを説明しきる場所」ではないと、私は思っています。

小さな画面の中で、

すべてを言葉にして、

すべてを納得させて、

すべてを理解させる必要はない。

むしろ、

説明しなくても進めてしまう構造のほうが、

結果的に親切なことも多い。


説明を足したくなるとき、

そこにはたいてい

「ユーザーが迷ったらどうしよう」という不安があります。

でもその不安は、

本当にユーザーのものなのか。

それとも、作り手側の不安なのか。

「問い合わせが来たら困る」

「想定外の使われ方をされたら怖い」

そうした気持ちが、

「親切な説明」という形で

UIの中に入り込んでしまうこともあります。


私は、

説明でコントロールするUIよりも、

迷っても戻れるUIのほうがいいと思っています。

多少迷ってもいい。

間違えても、すぐやり直せる。

致命的な失敗にならない。

そういう余白があるほうが、

ユーザーは安心して操作できます。

不思議なことに、

そうした設計の画面は、

説明が少なくても、ちゃんと使われます。


ユーザーを信用する、というのは、

何も書かないことでも、放置することでもありません。

判断できる範囲を渡すこと。

失敗しても、戻れる道を用意しておくこと。

その土台があれば、

UIは静かになります。

画面は軽くなり、

ユーザーは考えすぎずに前へ進める。


次に、

「ここは説明を足したほうがいいかな」と思ったとき。

私は一度だけ、立ち止まります。

これは、

本当にユーザーのためだろうか。

それとも、

自分たちの不安を和らげたいだけだろうか。

スマホの小さな画面に、

何を載せないかを決めることも、

UIデザインの大事な仕事だと、

私は思っています。

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