仕事の依頼を受けていると、
こんな言葉に出会うことは少なくありません。
- 「いい感じにお願いします」
- 「お任せします」
- 「もう少し分かりやすくしたくて」
決して悪意があるわけではなく、
多くの場合、依頼者自身もまだ整理しきれていない状態です。
ですが、この曖昧さをそのまま受け取って制作を進めてしまうと、
後から大きなズレが生まれることがあります。
曖昧な要望は「情報不足」ではなく「未整理」
まず意識しているのは、
曖昧な要望を「情報が足りない」と捉えないことです。
多くの場合、要望が曖昧なのは、
- 考えはあるが、言語化できていない
- 優先順位がついていない
- 誰に向けたものかが定まっていない
といった、未整理の状態だからです。
そのため、
追加の資料を求める前に、
「整理する作業」が必要になります。
いきなり答えを出さない
要望が曖昧なときほど、
すぐに「こういうデザインですね」と結論を出さないようにしています。
代わりに意識しているのは、
一度立ち止まって、前提をそろえることです。
- 今回の制作で、一番伝えたいことは何か
- これを見る人は、どんな状態の人か
- 見た後に、どう行動してほしいのか
この3点を言葉にできるだけで、
方向性はかなり見えてきます。
「選択肢」を使って整理する
抽象的な要望に対して、
Yes / No で答えられる質問を重ねるよりも、
選択肢を提示することが効果的な場合があります。
例えば、
- 「シンプル寄り」と「情報重視」、どちらに近いか
- 「初めての人向け」と「既に知っている人向け」、どちらか
- 落ち着いた印象か、少し勢いを出したいか
こうした選択肢があると、
依頼者も自分の考えを言葉にしやすくなります。
言葉にならない部分は、図にする
言葉だけでは整理しきれない場合、
簡単な図や構造で考えることもあります。
- 情報の流れを矢印で書く
- 要素同士の関係を並べてみる
- 優先度を高・中・低で分ける
完成したデザインではなく、
考え方の途中段階を共有することで、
認識のズレを早い段階で防ぐことができます。
「整理する時間」は、無駄ではない
最初に整理の時間を取ると、
一見すると遠回りに感じるかもしれません。
ですが実際には、
- 修正回数が減る
- 判断が早くなる
- コミュニケーションが楽になる
といった形で、
後半の作業がとてもスムーズになります。
まとめ
要望が曖昧な依頼は、
難しい仕事ではありますが、
同時に信頼を築くチャンスでもあります。
- すぐに形にしない
- 目的と前提をそろえる
- 選択肢や構造で整理する
こうした対応を重ねていくことで、
「話が通じる人」「安心して任せられる人」
として認識されやすくなります。
曖昧さを、そのまま形にするのではなく、
一緒に整理していく。
それが、実務の中でとても大切にしている姿勢です。
次回予告
次回は、
「クライアントが安心する進捗共有のタイミング」
について、もう少し具体的に書いてみようと思います。