デザインを語らなくなったデザイナーたち

最近、ふと思うことがあります。

私が「本当に強いな」と感じるデザイナーたちは、

もうあまり

カラ―システムや、Figmaの小技や、UXの法則について語らなくなりました。

少し前までは、

それが当たり前だったはずなのに。


数年前まで、

デザイナー同士で集まると、話題はだいたい決まっていました。

ピクセルの話、

グリッドの話、

タイポグラフィやユーザビリティテスト。

夜遅くまでチュートリアルを見ていた話や、

「デザインには世界を変える力がある」と本気で語る空気。

私自身も、その中にいました。


でも最近、

シニア、リード、プリンシパル、

あるいはデザインを統括する立場の人たちと話していると、

会話の内容が明らかに変わってきているのを感じます。

デザインの話を、あまりしない。

正確に言うと、

画面やツールの話をしなくなった


代わりに出てくるのは、

デザインを取り巻く、もっと現実的な話です。

・社内の力関係

・意思決定の構造

・プロダクトロードマップに、デザインがどう関われるか

・良いアイデアが、どこで止まってしまうのか

・ユーザーの信頼や指標が、どこで崩れるのか

日本の企業にいると、

「あるある」と感じる話ばかりです。


ビジネスモデルや収益の話、

最近うまくいったプロダクト、

逆に、なぜ失敗したのか。

すでに終わってしまったサービスの話をしながら、

「あれは何が足りなかったんだろう」と振り返ることもあります。

不思議なことに、

誰もUIの作り方は話していないのに、

その場にいる全員が、間違いなくデザイナーです。


気づいてみると、

デザインの話をしていないようで、

実はずっとデザインの話をしている。

ただし、

「どう作るか」ではなく、

「どう影響を受け、どう影響を与えるか」の話になっている。


そして、最近の会話で

避けて通れないテーマが、AIです。

生成系AI、自然言語インターフェース、

どの現場でも、

何らかの形でAIが関わっています。

同時に、

組織再編や人員整理の話も、

珍しくなくなりました。

日本でも、

「自分は関係ない」と言い切れる人は、

もう多くありません。


ユーザーへの共感を大切にしてきたデザイナーが、

企業の中では、

驚くほどあっさり切られてしまう。

その矛盾について、

多くの人が、言葉を選びながら話しています。


結局、話題の中心にあるのは、

人、力、責任、影響力。

デザインの話をしていなくても、

デザインから離れた話ではない。

むしろ、

デザインが影響を受けている

見えない領域について、

ようやく言葉にできるようになってきた。

そんな印象を持っています。


最近、

技術的な学びよりも、

考えさせられることのほうが多く残ります。

そして、思うのです。

もしかしたら、

これからのデザインキャリアで大切なのは、

デザインの話を減らすことなのかもしれない。

その代わりに、

「デザインが、何を可能にするのか」

その話を、もっとすること。

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